芝原佳孝の絵画作品及び関連商品の販売店
芝原 佳孝(しばはら よしたか)
■京都市立芸術大学 美術学部美術科 油絵専攻 2007年卒
その後10年以上あまり絵は描いていませんでした。
2020年コロナ禍で失業後 水彩画を再び描き始める。
■第20回、21回 国際水彩画交流NET展 入選
在学中もでしたが4年生で大学院試験に落ちて以来、何を描けばいいのか分からなくなっていたんです。人からの評価を求めるあまり、「何か現代美術らしい、深い考えとコンセプトを以ってアートにしなければ。」って考えてて、自分の絵、というか自分はどんな人間で、何が好きで、何が嫌いなのか、そういうことを考えずに、活躍してる作家さんや過去の芸術家に影響を受けては、自分とは繋がらないものを作っていた気がします。
いろんな仕事を転々としてきたのですが、2020年、コロナ禍で職を失い、緊急事態宣言も出ている中、暇だし久しぶりに絵でも描くか、と始めたのが柴犬の水彩画でした。他にやることもないので毎日1匹柴犬を描くことに決めました。
久しぶりに描いてみると、思ったより上手く描けないんですよね。だから毎日、「水彩のにじみを活かすにはもっとこうして…。」「前後の距離感出すのにこうしてみたら…。」と試行錯誤しながら描いていると、少しずつ上手くなって、それが楽しかったんです。それでようやく思い出したんですけど、絵を描くってめちゃくちゃ面白いんですよね。
大事なことを僕はすっかり忘れていたわけです。絵を描くのが面白いから、絵を描きに美大にわざわざ行ったのに、すっかりアート業界に惑わされて目的を見失っていたんです。
そもそも僕はめんどくさがり屋で、面白いと思ったら延々やるけど、興味ないことは全く続かない人間です。それに計画性はなくて、行き当たりばったり。いつも楽観的で、感覚に従って生きています。
そんな僕にはコンセプト考えてきっちり油絵具やアクリル絵具で描き上げる絵はぜんぜん向いてないんです。学生の頃はそんな絵ばっかり描いてました。毎回制作に取り掛かるまでとにかく時間がかかって辛かったです。産みの苦しみだと思ってましたが、それはただ自分に合ってない故の苦しみだったんですね。そして何より時間がかかり、道具の手入れも大変な油絵具は僕には全く向いてません。アクリル絵具ですら筆きちんと洗ったり、絵皿にこびりついた絵具を剥がすのが面倒なんです。
一方、最近インスタで主に海外の水彩画家をフォローして気づいたのですが、水彩画だとなぜか風景画、人物画、静物画みたいな古典的な題材の方が好まれるし、コンセプチュアルな絵や、抽象画はほとんど見かけません。さらに水彩絵具って、水だけで描けるし、道具の手入れもめちゃ楽だし、パレット洗わなくても固まった絵具はまた使えるしで、めんどくさがりな僕にピッタリなんですよね。
計画立てるのは苦手だけど、行き当たりばったりで絵をまとめていくのは得意なんです。きれいな色の組み合わせを作るのも得意。
だったら、それに特化して絵を描いていこう。ということで、面倒な上にダイレクト感を損なう下描きをやめ、先に何を描くかを決めてしまうのも、時間かかるのでやめました。
今は究極に行き当たりばったりな絵を描くことに専念しています。
意味のあるものを描こうとか、価値のあるものを作ろうとかは邪念だと思っていて、そういう功名心や野心のような人為的な考えを廃した時に、僕の芸術性というものが磨かれるし、絵に現れて来るんだと思います。